【柔軟性コラム①】健康寿命を延ばす決め手は?

なぜからだは硬くなるの?

からだを構成している組織はたくさんあります。この中で、からだの柔軟性に関与する組織は「筋肉」「靱帯」「関節包」「腱」「脂肪体(皮下脂肪とは異なる組織)」などが挙げられます。これらの組織は軟部組織といい、関節を動かしたり、安定させたりする役割を担っています。


一般に、軟部組織は年齢が高くなるほど硬くなってくることが分かっています。その理由はたくさんありますが、最も大きな理由はこれらの組織自体が変化することです。

「筋肉」「靱帯」「腱」などの軟部組織には、コラーゲンやエラスチンというタンパク質が多く含まれ、これによりゴムのような柔軟性がつくられています。しかし、これらが加齢とともに失われていき、年々軟部組織の柔軟性が失われていくのです。この変化は、新しい柔らかいゴムが、劣化していくにしたがい硬いゴムに変わっていくのをイメージすると、分かりやすいかもしれません。

このようなことから歳を重ねていくと、どうしてもからだが硬くなっていきます。だから中高年以降では、からだの柔軟性を保つためには、ストレッチングや可動域エクササイズのような予防的な運動が不可欠になると私は考えています。

からだが硬くなることの影響は?

からだが硬くなることによってたくさんの問題が生じます。特に次の4つの問題が生じることを知っておきましょう。

1,ケガや転倒が多くなる

1つ目の影響として、ケガが多くなることを挙げることができます。例えば筋肉が硬くなると、肉離れや腱損傷などのケガが多くなります。また靱帯や関節包が硬くなると、体重のかけ方が偏ってきますので、それによって捻挫や転倒などのケガも多くなります。

2,変形を生じやすくなる

歳を取ると腰や背中が丸まりやすくなります。

腰や背中が丸くなる理由はいくつかありますが、特に体幹が硬くなることと関連があります。例えば腰には5つの椎骨という骨があり、これらの椎骨は上下の骨同士で関節を作っています。この一つ一つの関節の後ろに反る動きが硬くなって、腰が丸まってくるのです。

3,痛みが生じやすくなる

関節や筋肉の硬さは、様々な痛みと関連があります。例えば、ひざが伸びなくなった状態を例に挙げましょう。ひざはまっすぐに伸びているときに最も安定する関節です。

このためひざが伸びなくなると、ひざは不安定な状態になります。また、使用する筋肉の活動が過剰になります。

これだけ考えても、ひざが不安定になり、さらにその動きをコントロールする筋肉の活動も過剰になるわけですから、ひざに様々な負担がかかるのも容易に想像できます。

4,他の部位に負担がかかる

また硬いところがあると、隣接する関節に負担をかけ、様々な痛みの原因となります。

一つの関節の動きは他の関節の動きにも影響を与えます。例えば股関節が硬くなると、図のようにひざも曲がり、足首も曲がります。つまり隣接する関節にも大きな影響を与えます。

こうしたことから、一つの関節が硬くなることは、その関節はもちろんのこと、隣接する関節に大きな負担がかかるようになり、その結果、からだに様々な痛みを生じるようになります。

ここでは股関節を例に挙げましたが、その他の関節でも同様です。偏った硬さが生じると、関節が硬くなかった時と比べ、からだの様々の部位への負担が大きくなります。

からだの柔軟性を維持するためのエクササイズ

園部 俊晴

園部 俊晴そのべ としはる

記事一覧

理学療法士。コンディション・ラボ(インソールとからだコンディショニング専門院)所長。足・膝・股関節など、整形外科領域の下肢障害を専門としている。故、入谷誠の一番弟子。一般からスポーツ選手まで幅広く支持され、、多くの一流アスリートや著名人などの療術も多く手掛ける。身体の運動連鎖や歩行に関する研究および文献多数。著書多数。新聞、雑誌、テレビなどのメディアにも多く取り上げられる。また、運動連鎖を応用した概念は、専門家からの評価も高く全国各地で講演活動を行う。

関連記事