誰もが望む『ピンコロ』
「ピンピンコロリ」という言葉をご存知でしょうか。
これは「歳を取ってもピンピンと元気で活動し、亡くなるときは介護などを必要とせずにコロリと逝く」といった意味の言葉です。
近年、昔に比べて長生きできるようになりましたが、ただ長生きするだけでなく、「お年寄りになってもピンピンと活動でき、そして死ぬときはコロリと大往生したい」と誰もが望んでいるのではないでしょうか。
厚生労働省の調べでは、「平均寿命」は男性が80.21歳、女性が86.61歳であるのに対し、「健康寿命」は男性が71.19歳、女性が74.21歳だそうです。「平均寿命」と「健康寿命」の間には、男性で約9年、女性で約12年の差があります。
これが何を意味するか分かりますか。
なんと、約10年もの期間、何らかの介護を必要としないと生活できない状況が晩年に訪れることを意味します。
とても驚いた方もいらっしゃると思いますが、ただ長生するだけでは、多くの人に手を借りないと生活ができなくなりますし、人生の晩年を楽しめないのも事実だと思います。病院に勤務していると、「子供に迷惑をかけたくない」という言葉を多くの患者さんからよく聞きます。でもこのコラムを読んでくださっているあなたも、今から何もしなければ、そうなってしまう可能性も決して少なくはありません。
「平均寿命」と「健康寿命」に差があることはたくさんの問題を生じますが、最も大きな問題は次の2点といえるでしょう。
【問題①】セカンドライフの生活の質が変わってしまう…
セカンドライフを、より楽しく、より豊かで、より充実して過ごすために、最も必要なことは何だと思いますか。「お金」でしょうか、「人間関係」でしょうか、「環境」でしょうか。そのどれも必要だと思いますが、最も必要なことは、「健康」だと私は思います。
より楽しく、より豊かで、より充実したセカンドライフは、「健康」であって初めて達成できるものです。「健康」でなければ、どんなにお金があっても、どんなに素晴らしい環境が合っても、人生を楽しむことは難しいでしょう。
「● ● に行きたい!」「● ● が食べたい!」「孫と● ● したい!」そんなあたり前のことも、「健康」であってはじめてできるのです。
今、あなたが描いているセカンドライフでの願望は、あなたの健康に依存しているのです。
【問題②】とにかくお金がかかる…
家計への影響は特にあなどれません。
たくさんの患者さんの人生を見てきた立場から言わせて頂くと、「介護が必要になると、かなりのお金がかかる」ということを知っておく必要があります。
介護にかかるお金には幅はありますが、例えば、自力で生活できなくなり施設に入るとなると、月に約20-30万程度のお金がかかります。また自宅で介護サービスを受ける場合も、日本では介護保険制度があるとはいえ、サービスを受けるのはそれなりのお金がかかります。
さらに、かかるお金は介護サービスに関することだけではありません。「健康」でなければ、医療費も当然膨れあがります。ある調査では、70歳以降の約10年間で人生の半分の医療費がかかるという結果が出ています。
以上のことからも、自らの管理によって「健康」を長く保つことができれば、介護や医療にかかるお金を大幅に抑えることができ、さらにセカンドライフをより豊かにすることができるのが分かります。
こうしたことからも「健康寿命」を延ばし、ピンピンコロリの人生を全うできることは、どの人にとっても、とてもとても大事なことだと私は考えています。